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ついぞ忘れていた感覚 [日記・思うこと]

打ち合わせの帰りに同僚と一緒に立ち寄った場所「BALS@東京」
http://www.balstokyo.com/index.html

その日までの期間で開催されていたギャラリー「BOTSU展」。

浅葉克己氏、隈研吾氏、岡本一宣氏、他の名だたるクリエイター達の
仕事で、残念ながらボツになってしまった作品を展示。


ちなみに主催会場の「BALS」のロゴにもボツになった案が沢山ある。


もちろん、ボツになった作品と一緒にOKになった作品も並べてある。
ボツになった理由は様々のよう。

かく言う僕もボツとOKはやっぱり隣り合わせだと常に思ってる。
予算の縮小、クライアントの組織変更、突発的な仕様変更、etc.etc.…

どんなにガッチリコンセプトを立てて臨んでも、
どんなにその時クライアントを頷かせても、
ボツなものはボツなのである。

クライアントの一担当者の好き嫌いでは決められることの無いよう
理論武装も張り巡らしたりもするのだが、、

展示された作品を見ると、ボツA、ボツB、ボツCと並び、最後に決定稿となっている。
・・・・うーん、なぜこれで決定なの?? ボツAの方が全然いいじゃん!!
てな事が目の当たりに見えて面白かった。


推測するに、例えば
クライアントの上層部(決定権を持つ層の方)が大胆なものを初回に提示され、
ちょっと腰が引けてしまい、無難なものに軌道修正を強いられた。

とか

企業の体質がそもそも保守的であったり。その割に斬新なモノをお願いしますなんて
オーダーしたりする ←鵜呑みにしてはイケナイ(笑)

そんなこんなのいろんな理由で本来のデザインのパワーを弱められることになる。

ただ、名だたるクリエイターの方々は、やっぱりクライアントとの
コミュニケーションを密にしていて、方向性を探る為のラフラフなものでなく、
初回からクオリティの高いものを提示してきている。
その初回のモノを出すにあたり、彼らの中で既に膨大な数のデザインがボツになっており
選りすぐられたモノがクライアントの前に提出されているわけだ。

そこに努力は惜しまない。彼らは「プロ」だから。

デザイナー、クリエイターの生み出すものは(どんなに事前のヒアリングや情報収集、
コンセプトワークを固めて臨んだとしても)水ものだと思う。
これがどれも単一のものであればそんな苦労も不要だけど、デザインってそうじゃないでしょ。

どんなに大御所のクリエイターだって同じように苦労してるんだな−、
なんて気付いたらちょっと苦笑い。…まぁ仕事の規模感が違うけどネ。

タイトルを「ついぞ忘れていた感覚」としたのは、
ギャラリーそのものに行く機会がめっきり減っていて、久々に展示を見ることができた。
というのと、平面デザインの「間」とか、印刷されたものの「トータルな美しさ」とか
タイポグラフィの「バランス」とか、とか、、、そういうのから随分遠ざかっちゃってたなー
って思ってね。世の中に出ているデザイン本を見て勉強するのももちろん大事だけど、
こういうふうに足を運んで、本に書かれているような説明文のないモノを見て、
そのものをどう捉える(理解する)か、って大事だよな。と再認識したわけで。

感覚を柔らかくして、もっと脳味噌に栄養をあげなきゃね。


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コメント 14

あやこ

私も最近 ギャラリーなどに行くことがあまりなく。。。
静かな雰囲気で、作品をのんびり眺めるのが好きです^^
コレ↓ 行きたいのですがなかなか時間が(>_<)
http://www.yokohama2005.jp/jp/
by あやこ (2005-11-16 08:18) 

loiter_about_on_the_way

おぉ、これは見てみたい。。。ってもう終わってしまったんですね。
大阪あたりでやってくれれば。。。くれないか。。。
なんかすごく刺激を受けそう。打ちのめされそう。(笑)
by loiter_about_on_the_way (2005-11-16 08:19) 

斉藤ようこ_nina

なかなか、のんびりと眺めに行く時間、ないですねえ〜。
たまには行きたいなあ♪
ボツという視点で集めたの、おもしろうそうですね。
本になってくれたりしないかなあ?

以前、担当者だったとき…
デザイナーさんと一緒になって(気分は制作側w)上層部にプレゼンし、ボツになり続け、結局最初の案を出してみたら…通った、ってことがありました(苦笑)
by 斉藤ようこ_nina (2005-11-16 15:29) 

ボツ写真いっぱいあるww
by (2005-11-16 19:36) 

しんたろ

面白そうだなぁ、これ…。
by しんたろ (2005-11-16 23:36) 

RGBでは出せないモノ、たまには見ないとなぁって思いました。
こじんまり展示してたあたりも、えらそうじゃなくてウレシイですね。
by (2005-11-17 02:23) 

ブタゴリラ

隣同士。。そうですよね。。。
by ブタゴリラ (2005-11-17 08:37) 

papa007_

みなさんコメント&nice!ありがとうございましたw

●のぶさん
nice!ありがとうございます☆

●あやこさん
なかなか時間が作れないですねー
URLたたいて見てみました。スゴイ大規模ですねー。
昨日お客さんのところに打ち合わせに行ったら
このポスターが貼ってありましたよ。

●にっしぃさん
Shopの一角にあるとても小ぢんまりしたギャラリーだったのですが、
なかなか刺激を受けますねw

●まりりんさん
nice!ありがとうございます☆

●ひなぐまさん
>(気分は制作側w)  制作側にとってはホントに心強いご担当者です(笑)
ボツになって、どんどんいじって変な方向に行って、結局前に戻ったね
ってこともたまーにあります。。。( iдi )

●ふじかわさん
写真は瞬間的なものですから、とても難しいなぁと思います。

●しんたろさん
しんたろさんのボツ作品も見てみたいw

●cochiさん
>えらそうじゃなくて  (笑)
銀座のギャラリーとか行きたいなぁ~

●ブタゴリラさん
んん~隣同士?? わかんにゃい(~ヘ~;)
by papa007_ (2005-11-17 11:30) 

moku_moku

BOTSU展見たかったです。。。残念!
浅葉センセーのボツった作品見たかった(笑)
私も随分前にADC展に行って以来、久しく出かけてないですねー

>鵜呑みにしてはイケナイ

え?そうなの??(爆)
by moku_moku (2005-11-18 01:02) 

papa007_

●ばあんばんさん
ADC展いいですね。1990年のADC年鑑若い頃に思いきって買いました。
あの時は、立花ハジメが大賞だったんですよ。
MacがDTPに活用されはじめた頃ですね〜
鵜呑みにしちゃダメですよw
by papa007_ (2005-11-18 01:29) 

nal

よくわかりませんが、
ものすごい面白そうです。
そこまでデザイン第一の仕事じゃないんですが、
「なんでこんなのになっちゃったの?」ってことはたまに見かけます。
異業種でも、こういうのは勉強になりそうだなぁ。
by nal (2005-11-18 10:34) 

neige

かつて、クライアントの好き嫌いに何度泣かされたことか・・・(遠い目)
商業デザイナーって、アーティストでもないし、オペレーターでもないし・・・難しい立場なんですよね。
上手くバランスを保って、トップクリエーターとして君臨している一握りの方々って本当に尊敬しちゃいます。
たまにはギャラリーとかに行って、日々の生活を楽しくするヒントを探して来たいなー♪
by neige (2005-11-18 18:22) 

papa007_

●nalさん
ボツになっている分を展示するということは、そのクライアントから(おそらく)了承を得ているわけで、僕みたいに、ボツ案の方がよかったのに、という意見があるであろう事をふまえて、OKを出してくれるクライアントもエライと思いますw nalさんのお仕事でボツがあるとすると、どの段階でのボツになるんだろ??

●neigeさん
商業デザイナーって大変ですよね。でも、とてもやりがいのある仕事でもありますね〜。駆け出しの頃は、それこそ貪るように色んな作品を見て回りました。また行きたいですw
by papa007_ (2005-11-19 02:31) 

miron

厳しい世界ですね。
でも、だからこそ、ハットするようなデザインがうまれてくるのですね。
papaさんのブログのデザインは、とても好きです。
by miron (2005-11-19 11:32) 

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